2013年3月9日土曜日

展覧会概要






「作品を作るということは、どこか、呼びかける行為に似てはいないだろうか」

本展はこのような問いから始まりました。

その呼ぶ声は、どこへ向かうのでしょうか。私たちは自分自身の身辺にある、存在「そのもの」や、目に見えないけれども「在る」と感じられるものへ向けて、呼ぶことを試みます。作品を作るということは言わば「声」であり、呼びかけること、目に見えるものに創造しようとする中で、対象は初めて、ようやく姿を見せるのかもしれません。

世界のどんな細部も変化をやめず、人もまた変わって行きます。だからこそ、呼びかける声はあらゆるものに向かいます。その時々の一瞬、そして流れの中に晒されながら在るものに気づき、捉えるために、私たちは呼び続けるでしょう。

ここに集まる21の作品は、作家それぞれの呼びかけなのです。












多摩美術大学大学院油画研究領域 有志修了制作展
「 呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ 」

会期:2013年3月10日(日)ー 3月17日(日) 11:00−19:00

 ■オープニングパーティ

  3月10日(日)16:00ー

 ■関連イベント

  3月13日(水)17:00ー 卒業生と座談会  
           ゲスト:髙木大地(画家、多摩美術大学大学院2010年修了)
       鈴木星亜(画家、多摩美術大学大学院2012年修了)

      3月16日(土)16:00ー トークセッション
   ゲスト:松浦寿夫、林道郎 

                    松浦 寿夫(まつうら ひさお)
                   画家、美術評論家。1954年生まれ。『ART TRACE PRESS』責任編集者。
                    東京外国語大学教授。著書(共書)『絵画の準備を!』 朝日出版社

                   林 道郎(はやし みちお)
                   美術評論家。1959年生まれ。 『ART TRACE PRESS』責任編集者。
                   上智大学国際教養学部教授。
                   著書『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』ARTTRACE出版


 TURNER GALLERY(ターナー色彩(株)東京支店) 
   〒171-0052 東京都豊島区南長崎 6-1-3  1F・3F・ 4Fスペース
   tel:03-3953-5155
     e-mail:gallery@turner.co.jp 
     http://www.turner.co.jp/gallery/
 

 ■本展出展者21名によるドローイングのリレーをtwitterで始めました。
    https://twitter.com/yobu_yobu_yobu

2013年3月8日金曜日

【有志展参加作家】







相澤なほ赤津桂子、大内麻美、菊池奈緒、北浦実奈、金藤みなみ、齊藤のはら、

佐々木菜緒、佐々木睦、荘司麻衣、神保光宏、末岡由佳理、田澤梨沙、寺谷小百合、

豊島尚、西川美穂、馬場恵以実、逸見恒沙子、松本玲子、安永則代、矢野亜美  

                                 (五十音順)









呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ は、
以上21名による多摩美術大学大学院油画有志展です。

よろしくお願いします。


 



2013年2月25日月曜日

《トークセッション》[ゲスト紹介]松浦寿夫さん・林道郎さん


「呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ」展

 

関連イベント 

3月16日()16:00 ― トークセッション

ゲスト:松浦寿夫 林道郎


松浦 寿夫(まつうら ひさお)
画家、美術評論家。1954年生まれ。『ART TRACE PRESS』責任編集者。
東京外国語大学教授。著書(共書)『絵画の準備を!』 朝日出版社


林 道郎(はやし みちお)
美術評論家。1959年生まれ。 『ART TRACE PRESS』責任編集者。
上智大学国際教養学部教授。
著書『絵画は二度死ぬ、あるいは死なない』ARTTRACE出版






呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ展ではお二方をお招きし、トークセッションを行います。

場所:ターナーギャラリー 4F
司会:松本玲子    ゲスト:松浦寿夫・林道郎
時間:16:00開始/18:00終了予定 (※トーク会場封鎖の予定はありません。)




松浦寿夫さん、林道郎さんの著作『絵画の準備を!』『ART TRACE PRESS』等でお二方が掛け合いながら言葉によって築かれ、解かれていく絵画の話に大きな刺激を受け、この度展示会トークセッションのゲストにお呼びすることとなりました。 
 
わたしたちは展示タイトルにある「呼ぶ」という言葉に、作品を「作る」という意味を重ねています。 

 作家たちにとってその作品の形態やアイデアは様々であっても、作る行為にはメディアと共に練り上げるという過程が同時に存在します。その位相で何が起きているか、語り合うことを通して作り上げるプロセスそのものと向かいあっていきたいと思っています。

ぜひお越し下さい!
 

2013年2月14日木曜日

《座談会》[ゲスト紹介]髙木 大地さん ・ 鈴木 星亜さん


「呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ」展

 

関連イベント 

3月13日(水)17:00 ― 卒業生と座談会

ゲスト:髙木 大地(画家、多摩美術大学大学院 2010年修了)
    鈴木 星亜(画家、多摩美術大学大学院 2012年修了)


「呼ぶ、呼ぶ、呼ぶ」展 では同大学の先輩であり現在画家として活躍をされいる二人ゲストをお招きして座談会を開催します







髙木 大地 Daichi Takagi 



1982  岐阜県生まれ
2008  多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
2010  多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了

 

個展 

2011  「still life / landscape,abstract」Remasta.[末永史尚スタジオ]、東京

 

グループ展

2006  「The fantastic show in lagrange point」アートスペースX、愛知
2008  「99人展」名古屋市民ギャラリー矢田、愛知
2009  「絵画人間」多摩美術大学東棟1,2Fギャラリー+北棟B1F ギャラリー、東京
2010  「アートアワードトーキョー丸の内2010」行地下ギャラリー、東京
           「SSS-expanded painting」MISAKO&ROSEN、東京
2011  「肥えた土地」アキバタマビ21、東京
2012  「460人展」名古屋市民ギャラリー矢田、愛知
           「現代美術の新世代展2012」極小美術館、岐阜
           「SLASH/08-醒めない蜜の味をちょうだい-jwaitingroom、東京  
     


1982  Born in Gifu 
2008  BFA, Tama Art University
2010  MFA,Tama Art University  

 

Solo exhibitions 

2011  「still life / landscape, abstract」Remasta. [Suenaga Fuminao`s studio] , Tokyo

 

Group exhibitions   

2006  「The fantastic show in lagrange point」Art Space X , Aichi 
2008  「Ninety-nine exhibition」Civic gallery Yada , Aichi
2009  「Painting human」Tama Art University East-bldg 1.2F gallery+North-bldg B1F            gallery , Tokyo  
2010  「Art Award Tokyo Marunouchi 2010」Gyoko-dori Underground Gallery , Tokyo
    「SSS-expanded painting」MISAKO&ROSEN , Tokyo 
2011  「The fertile land」akibatamabi21 , Tokyo
2012  「Foursixty Exhibition」Civic gallery Yada , Aichi
    「The new generation of contemporary art 2012」Kyokushou Museum , Gifu
    「SLASH/08 -Gimme something sweet that is everlasting-」waitingroom , Tokyo    













landscape

2011
Oil on canvas
24.4×41.0










abstract-line

2011 
Oil on canvas
Oil on canvas97.0×130.3











still life

2012
Oil on canvas
530.×45.5










torso

2012
Oil on canvas
162.0×97.0










鈴木 星亜 Seia Suzuki


 
1986  東京都生まれ
2010  多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2012  多摩美術大学大学院美術研究博士前期(修士)課程絵画専攻油画研究領域修了


展示

2008  メリルリンチ・チャリティ・アートオークション「未来の巨匠たち」入選(メルリンチ日本証    券株式会社/東京)   
         グループ展「」(タワーホール船堀/東京)09,10,11年
           第二回三菱商事アート・ゲート・プログラム入選(EYE OF GYRE, 三菱商事ビル/ 東京)
       viaart2008 EFD 入選(シンワアートミュージアム/東京)
2010  トーキョーワンダーウォール2010入選(東京都現代美術館/東京
         グループ展「シブヤスタイルvol.4」(西武渋谷店/東京
2011  個展(ANOTHER FUNCTION/東京)  
         グループ展「nine colors V」(西武渋谷店/東京)
         個展(KEY Gallery&樺画廊/東京) 
         トーキョーワンダーウォール2011入選(東京都現代美術館/東京)
         シェル美術賞展2011入選(代官山 ヒルサイドフォーラム/東京)
2012  VOCA展2012、VOCA賞受賞(上野の森美術館/東京)
           グループ展「日常の変容」(BankART Studio NYK/神奈川
           グループ展「nine colors VI」(西武渋谷店/東京
           アキバタマビ21特別展「大学絵画」(アキバタマビ21/東京)



1986  born in tokyo
2010  B.F.A., Oil Painting, Faculty of Art and Design, Tama Art University
2012  M.F.A, Tama Art University

 

exhibition

2008  Merrill Lynch・Charity Art Auction"Tomorrow's Masters" (Merrill Limch Japan / To            kyo)
    Mitsubishi Corporation Art Gate Program 1 (EYE OF GYRE / Tokyo)
    Group exhibition "Yu-Bi" (Tower Hall Funabori / Tokyo) 09,10,11
    Mitsubishi Corporation Art Gate Program 2 (Tokyo)
    Group exhibition "Yarimizu Exciting Rendezvous"(Sagamihara municipal gallery /          Kanagawa)  
    viaart2008 EFD (Shinwa Art Museum / Tokyo)
2010  Tokyo Wonder Wall 2010(Museum of Comtenporary Art Tokyo / Tokyo)
    Group exhibition "Shibuya Style vol.4"( Seibu Shibuya/ Tokyo)
2011  Solo exhibition (ANOTEHR FUNCTION / Tokyo)
    Solo exhibition (KEY Gallery&Seika Gallery/Tokyo)  
    Group exhibition "nine colors V"(Seibu Shibuya/ Tokyo) 
    Tokyo Wonder Wall 2011(Museum of Contemporary Art Tokyo / Tokyo) 
    Shell Art Award 2011(Daikannyama Hill Side forum/ Tokyo) 
2012  VOCA2012, VOCA Prize(The Ueno Royal Museum/ Tokyo)
    Group exhibition "The Changes of Everyday" (BankART Studio NYK /Kanagawa) 
    Group exhibition "nine colors VI" (Seibu Shibuya/ Tokyo)  
    Akibatamabi21 special exhibition "Paintings from University" (Akibatamabi21/            Tokyo) 









©Seia Suzuki courtesy of Ai Kowada Gallery

知覚が変わる

キャンバスに油彩, 130.3 x 162.1cm
Pure Land PaintingVIII, oil on canvas, 130.3 x 162.1cm








©Seia Suzuki courtesy of Ai Kowada Gallery

絵が見る世界11_01

キャンバスに油彩・パネル, 112.1 x 145.5cm
The World a Painting Sees11_01, oil on canvas mounted on board, 112.1 x 145.5cm



 





©Seia Suzuki courtesy of Ai Kowada Gallery

絵が見る世界12_06 

キャンバスに油彩, 130.3 x 194.0cm
The World a Painting Sees12_06, oil on canvas, 130.3 x 194.0cm
















□  HP 
  髙木大地  Daichi Takagi    http://www.daichitakagi.com/index.php
  鈴木星亜  Seia Suzuki     http://suzuki-seia.com/index.html

2013年2月3日日曜日

サノアヤコさん

今回は私たちの展示のフライヤーおよびポスターのデザインをしてくださった、デザイナーのサノアヤコさんについてご紹介したいと思います。 

 
Ayako  Sano  /   サノ アヤコ 佐野 

早稲田大学在学中に舞台の宣伝美術を中心に活動を開始。
各種グラフィックデザインやイラストレ−ション等を手掛けられています
現在フリーランスとして活動中。 
2012年に第一回東京装画賞 学生部門 銀の本賞を受賞されている新進気鋭のデザイナーさんです


出来上がったフライヤーはこのような仕上がり♪





サノさん、ありがとうございました!


気になった方は是非サイトの方にも足を運んでみてくださいね。
         ↓       ↓
Ayako Sano  official HP http://snov.under.jp/ 
     
また、フライヤーは、2/21〜国立新美術館で催される五美大展で配布する予定です。それ以外に他大学、専門学校、予備校さんに配布をお願いしています

2013年1月31日木曜日

作家紹介vol.7






安永 則代 Noriyo YASUNAGA





















 





安永則代《手に入らないグレー #A-#E》2013








私は「線と面のグレーゾーン」というコンセプトのもと絵画を制作している。
グレーゾーンとは、対象との関わりや接点を問う領域であり、比較・対比による思考の課程であると考える。これは、絵画制作だけに限定したものではなく、現実世界にも同じことが言えると考える。世界は、自然環境や社会、情報など様々な要素によってバランスを保ち構成されているが、これらの要素には、白か黒、右か左でははっきりとは言い表せないグレーゾーンが存在していると考える。
また、人は正解や不正解などの判別をしたがると考えるのだが、判断材料として、正解や不正解、有か無か、善か悪かももちろん肝心ではある。しかし、その判別のみが答えではなく、不確実性の強い部分を問うことで、対象との関係性や、関わり方が見えてくるのではないだろうか。
人はそれぞれ要求するものは違うはずである。人と人との境界線を求めるのか、人と物との関係性なのか。もちろんそれに限ったことではないだろう。はっきりしている白と黒の部分ではなく、グレーゾーンのようなはっきりしない部分にこそ世界を観るためのヒントが隠されているのかもしれない。
今回出展する”手に入らないグレー(Gray / unobtainable)”シリーズは、線と面のグレーゾーンの関係性そのものについて問う作品であり、同時に人と人との境界線や、認識について問うものである。










佐々木 菜緒 Nao SASAKI







佐々木 緒「Clear Eye」 2012










佐々木 菜緒「朝を得、」2012










佐々木 緒「ZOUKA」2012







私は日々の感想や感動をモチーフネタにしてものをつくっています。何かを感じて何かを想うということも、何かを感じて何かが動くということも、鮮烈な瞬間です。私はものを作る時に、そうした目が眩むような瞬間を追いかけてしまいます。その鮮烈な瞬間が何なのか、ハッキリとクリアにしたいという衝動、それと同等に、そこから生命力、エネルギーのようなものを取り戻したいという魂胆があります。
目が眩むような瞬間を追いかけてしまうというのは本音です。が、それ以外はやや理想です。どこかで透明への衝動とエネルギーへの欲求は同じ場でことを起こすような気がするのですが、わかりません。
鮮烈な瞬間を得るというのはある意味で内臓での出来事、人間の機能での出来事です。エネルギーが欲しいというのも高揚感を求めているだけだったり、透明の到達地も実は自分のイメージでしかなかったりします。本物・原型のようなものの正確さを求めるほどに、それは作りようもないものだと気付かされるのです。ドキュメントを目指すようでいて、私の作るもの、それはかなりのフィクションです。
しかし、私は直感的に、感想、感動の事物を表現するよりも、鮮烈な瞬間の体験そのものを作りたい、作れたらいいと考えている節があります。この際、嘘でもまがい物でもいいからそれを本気でつくってみようという発想、何か作れるなら一瞬の体験くらい消費してしまってもいいというような気分・気持ちです。それは、何かを殺していくことで鮮烈さのようなものを得られると、体感的に思うところからも来ていると思います。
日々、制作の中でこうしたことを悶々と考えていると妄想の海に溺れるようですが、最近は、とりあえず今は触れるところから始めてみろ、と自分に活を入れてつくっています。










齊藤 のはら Nohara SAITO









齊藤 のはら「種蒔く人と穂苅歌」2012









齊藤 のはら「種蒔く人と穂苅歌部分」2012










齊藤 のはら「種蒔く人と穂苅歌 部分」2012








絵を描く=種を蒔いている感覚。一本の線から始まるイメージはどんどん伸びていき、増殖し、成長し、そこから種をまた採るために穂を刈る。展示が終わったあと描いたものは全て真っ白に消した。塗りつぶした時は本当に収穫してる気分だった。展示は、とある時にしか出現しない空間を作ることでもある。だからこそたくさんそこに種をまいて、収穫したかった。終わったらその場所から「消えて無くなる」からこそ、イメージの力を感じられるのではないか。そうすることで、頭の中に記憶として「場」の力がずっと残りつづける。それはわたしにとって、種を蒔く事とつながる。枯れて咲く植物のように、時間がたったら無くなってしまうものほど返って存在が深く残るのではないかと思い、試みた作品。









vol.7 安永 則代 佐々木 緒 齊藤 のはら

作家紹介vol.6






金藤 みなみ Minami KINTO

  





金藤 みなみ「Achela,大岡川をのぼる、くだる。」2013
   








金藤 みなみ「シャドウワーク」2013









金藤 みなみ「宿」2013







「土地を異化する為のパフォーマンス」

はじめまして。このブログをみてくださってありがとうございます。
私は絵画研究領域にいながら、普段はパフォーマンスをしている、と言える存在です。

私が『宿』と呼ぶ作品をつくる際に主に関心を寄せたテーマは地域性です。これまで、東京、ソウル、ヘルシンキ、黄金町等各地を転々とし、妖怪のようなかぶり物を被り、’歩き去る’パフォーマンス記録を収集してきました。私の作品にとって"異化"は重要なテーマです。例えば、東京の繁華街と東北の農村で、同じパフォーマンスをし、2つの映像を比べると、街の人々のリ・アクションの違いに気づきます。東京では人々はシャイで、慌ただしく通り過ぎ、まるでパフォーマーが"見えない存在"かの様に映ります。東北では、壮大な景色とともに何気ない人々の声かけが土地の存在を浮き上がらせました。その土地で暮らす人が、その映像を見て、"土地が違って見えた"と感想をくれました。その土地を行き交う人々の息づかいが。映像を通して土地にある'何か見えないもの'が可視化され、パフォーマーが'歩き去'った後も鑑賞者に土地の存在を感じさせます。

このプロセスを断続的に行い、シーンを繋げる事で、定点としての故郷を背負って歩き続ける姿を引き出します。

今回の展示ではイベントも充実していますので、
是非お誘い合わせの上ご来場ください:)

私はパフォーマンスもする予定です。







神保 光宏 Mitsuhiro JIMBO







神保 光宏「あらわれ」2012










神保 光宏「渾渾」2012








私の近作は、屋外(実際のモチーフがある場所)での制作を重視している。その場所には、草のにおい、風、日光、気温や湿度など、視覚以外の感覚への刺激が浴びるほどにある。それらの感覚を意識して、もう一度よく見るということ。それが視覚を超えた何かにつながるのかもしれない。 
視覚だけを分けて考えるのではなく、自らその場へ行きそこで感じること、自分の体から涌き上がるなにかこそ、「風景」なのかもしれない。 
私自身が「みえないもの」を見たい、感じたいということが、私の制作の根源的なモチベーションだといえる。










北浦 実奈 Mina KITAURA







北浦実奈「夜行天使」2012



 





北浦実奈「天使のごはん」2012









北浦実奈「ssssssssssss」2012







「てんしのたび」

天使は旅をする
群れをなしてずうっと飛んでゆく
天使の大移動だ
天使が動くと
大気も動く
地球の自転

右へ右へと回っているこの場所は
じいっと動かず立っていると思っても
一秒あとには同じ場所にはわたしはいない

天使は右から左へと飛んでくる

地球に立つわたしと天使とがぶつかるとき

爆発し
星星が散り
宇宙になる




私の描く天使は、決まって左へと飛んでゆきます。
何故左へと飛んでゆくのかと考えたとき、
時間の流れに逆向する時を超えた存在が天使なのだと気づきました。
地球は右へと廻り、時計やカレンダーも右側へ進むことの繰り返しをします。
時を重ねた今、何百年も前に描かれた教会の壁画や絵画が残っています。
彼らは生きています。
魂のこもった絵画や作品は時を自由に飛び越えるこのとできる
天使という生き物なのです。









vol.6 金藤 みなみ 神保 光宏 北浦 実奈

2013年1月28日月曜日

作家紹介vol.5






松本 玲子 Reiko MATSUMOTO







松本 玲子「黒目を注ぐ、あそこからここまでの空揺れるものすべて油彩、キャンバス 2012










松本 玲子「a pine tree soak the city slowly」インク、紙 2012










松本 玲子「walk across the emptiness」インク、紙 2012










松本 玲子「play in the vacant space」インク、紙 2012







景色、或る場所とそこに居合わせたものたちをモチーフに、絵画を制作している。
わたしはそれらが絵画のなかで、絵画によって、どのような光景に変貌していくかに興味がある。ある場面やものが絵画という場所を通過することによって、あらゆる運動を形成し、寄り道をする。現れるための作用は、それ自体同時に現れを打ち消そうともする。
その力のなかからイメージが立ち現れるとき、そのイメージとはひとつの「状況」であり、力の拮抗し合う場所に立ち、それらに支えられた存在の姿になる、と考えている。そのイメージに会うために絵画を制作し続けている。










赤津 桂子 Keiko AKATSU







赤津 佳子「untitled」2012










赤津 佳子「その中へと」2012







<私が絵を描くのは、私の中にある世界を探究したいからだと考え、絵を描いていたし、そのように自分の言葉として発信してきた。しかし、絵を描くことによって私の中にある世界は探究されてきたのだろうか。私の世界を投影しようとしている絵の中の世界に、絵を描く過程で生じる偶然性によってこれまで予想しなかった何かが現れた時、私の中にある世界にもその「何か」が存在するのかもしれない、と思うことがある。しかしそれは探究ではなく、偶然によって得られた発見であり、絵を描くことで生じた偶然性によって現れてきたものは、その絵の中にしか存在しないもので、私の中にある世界に「何か」としてそのまま還元されるものではないのではないだろうか。その偶然を引き起こしたのは、私自身でもあるし、その発見をしたことによって私の中にある世界は少しづつ広がっていくのかもしれない。しかし、絵を描くことによって探究されるのは、私の中にある世界ではなく、絵の中にある世界であり、私が探究したいのは、私の中にある世界ではなく、絵を描くことなのではないか。>
最近は、このような考えを持ち、制作をしています。










田澤 梨沙 Risa TAZAWA












 





田澤 梨沙「Aedificium stellarum in aqua et caelo」2012










田澤 梨沙「stillness,and separation」2012








現象を物質として捉えようとすることと、作品を作ること。

小さい頃、私は周りに漂う空気や舞い上がる埃やそれを照らす光に、何かを感じたりするもの、つまり心とよばれるものは、目の間に広がる光景のことだと思って、心ってきれいだなあと思って見つめていました。やがて、それは違うと気がつきましたが、あの時の自分にとっては眼前に広がる光景が、心だったんだなあ、と今になって振り返ります。

最近はそういうことが今の作品を作ろうとする気持ちにつながってるんじゃないかな、と思います。











vol.5 松本 玲子 赤津 佳子 田澤 梨沙